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VAT on transactions exchanging cryptocurrencies for traditional currencies and vice versa (comment on CJEU judgment 1)
VAT on transactions exchanging cryptocurrencies for traditional currencies and vice versa (comment on Advocate General’s opinion)
ビットコインと法貨との交換は付加価値税(VAT)の対象となるサービスかどうかについて、2015年7月16日に、EUのKokott法務官の意見が出された(Skatteverket v David Hedqvist, Case C-264/14)。法務官意見には、EU裁判所の判断にも影響力があるが、英語の公定訳はまだ出ておらず、日本語では未紹介のようだ。
本事件では、Hedqvist氏は、スウェーデンの法貨によるビットコインの販売と購入を行い、その交換レートの差を利益とする営業(したがって、取引所ではなく、販売所)を開始することにした。同氏がVATの支払義務を負うかについて、EUのVAT指令(2006/112)の解釈について、スウェーデンの最高行政裁判所がEU裁判所の判断を求めた。
法務官は、このような交換は、原則としてVATが課税される「対価を伴うサービス」(Art. 2(1)(c))に当たるが、通貨に関する取引として課税が免除される(Art. 135(1)(e))と判断した。ここで言う「サービス」の内容は、交換であり、通貨の移転ではないとしている(paras.13,18)。また、ビットコインの保有目的は、支払手段以外にはない(para. 17)との前提に立っている。その上で、VAT指令の前記条文との関係では、支払手段である通貨を法貨と区別する理由はなく(paras. 15, 40)、ビットコインが良貨か悪貨かも関係ない(para. 44)と説示している。結論部分においては、ビットコインという固有名詞は使わず、「純粋の支払手段」という一般的な表現を使っている。他の仮想通貨について、どの時点で誰の判断を基準に「純粋な支払手段」であると評価することになるのか等々、興味は尽きない。